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ヨシナカ社員つぶやき
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2018年2月19日

『走れメロス』

日本文学において、かつての文豪たちは数々の新たな世界を生み出してきました。

一方で執筆に熱中する余り、時には当初の設定を忘れたり、現実離れした数字を書き込んでしまったりと、ツッコミ所が多々あります。

昨年、愛知県在住の中学生が夏休みの宿題にて検証した、太宰治の名作『走れメロス』のレポートが理数教育研究所主催のコンクールで最優秀賞を獲得しており、とても興味深かったのでここで紹介いたします。

まずは『走れメロス』のあらすじより―――

国民を苦しめている王の暗殺を企て、王城に侵入し衛兵に捕らえられたメロスは、妹の結婚式に出席するために親友セリヌンティウスを人質にし、三日間の猶予を貰う。

そして親友との約束を果たすために死力を尽くして走り続け、約束の三日後の日没寸前に王城に戻ってくる―――と簡潔に言えばこういったストーリーです。

レポートではこう指摘します。

《初夏満天の星の深夜出発》との記述からメロスは深夜0時に出発し、そして《一睡もせず10里の路を急ぎに急いで、村に到着したのは翌る日の午前、日はすでに高く昇って村人たちは野に出て仕事を始めていた》とあるので、夜通し走って午前10時に到着したものと仮定しました。

すなわち、メロスは村までの10里(=約39km)の道のりを行くのに10時間かかり、平均時速は推定約3.9km/hということになります。一般男性のフルマラソンの平均タイムが4時間30分で平均時速が約9km/hであることを引き合いに出し、【一般男性の歩行速度は4km/hなので、メロスは往路を歩いたことが分かる】と結論付けました。

以上の検証により『走れメロス』は『はよ走れメロス!』だったことになります。

余談になりますが、物語のラストで着衣はボロボロでほぼ全裸の状態になり《ひどく赤面した》との記述について、なりふり構わずの全力疾走ならばまだしも、早歩き程度であれば自分のあられもない姿に気付かない訳がないのでは…と思いました。そして、早歩きしているほぼ全裸の男は不審者そのものです。

このように、違った観点より物語をみるのも中々面白いなと思いました。

                     大阪工場 K      



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